整形外科でレントゲンを撮ったら、「ストレートネックですね」と言われた。
首の骨がまっすぐになっている、と聞くと、もう元には戻らないのではないかと不安になります。

先に答えをお伝えします。
首の骨のカーブそのものが元の形に戻るかどうかは、人によって違い、短い期間で大きく変わるとは言いにくいものです。
ただ、首の重さやこり、頭の疲れといったつらさは、骨の形よりも、頭をどの位置で支えているか、首を支える筋肉がどう働いているかに左右されることが多いと考えられています。
つまり、骨の形が同じままでも、首が楽になる余地は十分にあります。

ストレートネックとは、どういう状態か

首の骨(頸椎)は七つの骨が積み重なってできていて、横から見ると、前に向かってゆるやかに弧を描いています。
このカーブがばねのように働き、重い頭を支えながら、衝撃を逃がしています。

ストレートネックは、このカーブが浅くなり、横から見て首がまっすぐに近い状態を指す言葉です。
正式な病名というより、レントゲンで見える骨の並びを表した呼び方です。

骨の形と首の痛みは、必ずしも一致しない

ここで知っておいてほしいのは、骨の形とつらさが、いつも一緒に動くわけではないということです。

45歳以上の人を、首の痛みがある人とない人に分けて、レントゲンで首のカーブを比べた研究があります。
結果は、両方のグループで、カーブの角度にも、ストレートネックの割合にも、はっきりとした差は見られませんでした。
整形外科医の団体による解説でも、首のレントゲンの所見と症状は必ずしも一致しない、とされています。

もちろん、骨の並びがまったく関係ないと言い切れるわけではありません。
年齢とともに首の骨が変化していく要因の一つになりうる、という指摘もあります。
それでも、「首がまっすぐだから、ずっとつらいまま」と決めつける必要はない、ということです。

つらさを左右するのは、頭の位置と首を支える筋肉

では、何が首のつらさを左右しているのか。
ここで、傘をさしている場面を思い浮かべてください。

傘が手の真上にあるとき、手首はほとんど力を使いません。
ところが、傘が前に傾くと、手首は倒れないように、ずっと力を入れ続けることになります。
首にとっての傘は、頭です。

パソコンやスマホを見るとき、頭は少しずつ前に出ていきます。
すると、首の後ろから肩にかけての筋肉が、頭が前に倒れないようにブレーキをかけ続けます。
一方で、首の前側の奥にあって、首の骨を内側から支えている細い筋肉は、使われる機会が減っていきます。
後ろは働きすぎ、前の奥はサボりがち。このアンバランスが、首の重さやこりにつながります。

傘の柄がまっすぐでも、曲がっていても、傘が手の真上にあれば手は疲れにくい。
首も同じで、骨の形より、頭をどこで支えているかのほうが、毎日のつらさに直結しやすいのです。

セッションでよくお会いするのは、首のケアを熱心にしているのに、背中の上のほうが丸まって固まっている方です。
土台の背中が丸いままだと、頭はどうしても前に押し出されます。
首だけでなく、その下の背中から見直す必要があるのはこのためです。
また、集中している間は呼吸が浅くなりやすく、首や肩の筋肉が呼吸の手伝いまで引き受けてしまうこともあります。
首のこりが、首だけの問題で終わらないのはそのためです。

枕を替える前に、自分でできる2つのこと

ストレートネックと言われて、まず枕を替える方は多いと思います。
寝ている間の首の負担を減らす工夫は悪くありません。
枕を選ぶなら、仰向けに寝たときに、あごが上がりすぎず、引けすぎもしない高さが一つの目安です。
ただ、一日の多くを占めるのは、起きている時間の頭の位置です。
どんなに合う枕を見つけても、起きている十数時間、頭が前に出たままなら、首の負担はなかなか減りません。
枕を探す前に、次の2つを試してみてください。

1. 壁を使って、頭の位置を確かめる

2. うなずくように、あごを軽く引く

二つ目は、首の前の奥にある筋肉に、支える役割を思い出させるための入り口です。
強く引くほど効くものではありません。痛みが出る場合は中止してください。
一度にたくさんやるより、1時間に1回、画面から目を離したついでに行うほうが、頭の位置を思い出すきっかけになります。
デスクワークの合間の身体の戻し方は、デスクワークの合間にできる、身体のリセットでも紹介しています。

受診の目安:こんな症状は、まず医療機関へ

次のような場合は、セルフケアを続けるより先に、整形外科などの医療機関に相談してください。

首の不調が頭痛やめまいにつながる仕組みについては、その首の不調が、頭痛やめまいを呼んでいるかもしれませんで詳しく書いています。

一人では戻りやすい理由と、身体からの解決

壁の確認や、あごを引く練習で楽になる方もいます。
ただ、長く続いた首のつらさは、一人ではなかなか戻らないことがあります。

理由の一つは、頭が前に出た位置が、本人にとっての「まっすぐ」になっているからです。
正しい位置に戻すと、かえって後ろに反っているように感じる。
自分の首や背中は自分では見えないので、どこが働きすぎ、どこがサボっているのかを感覚だけで見分けるのは難しいのです。

だからこそ、まず外から姿勢と動きを見て、頭が前に出る起点がどこにあるのかを確かめることに意味があります。
渋谷や表参道でデスクワークを続けている働く人ほど、首だけを揉んで終わらせず、背中の土台から一度見直してみてください。

ストレートネックと言われても、あきらめなくて大丈夫です。
骨の形を変えることより先に、傘を手の真上に戻すこと。
頭を無理なく支えられる身体になれば、首はもっと静かに、楽になっていきます。

B-side GYM の考え方

首は、傘を支える手。
柄の形を変えるより先に、傘を手の真上に戻す。