首こりと一緒にやってくる、頭全体がじわじわ締めつけられるような頭痛。多くは「緊張型頭痛」と呼ばれるタイプだと言われています。

首を揉むと、その場では少し楽になります。けれど翌日には、また同じところが重くなる。それは、首が痛みの「現場」ではあっても、「原因」ではないことが多いからです。首こりからくる頭痛で見直したいのは、こっている首そのものより、首に乗っている頭の位置です。

ただし、頭痛の中には、すぐに病院へ行くべきものがあります。そのサインは、この記事の後半にまとめています。

首こりからくる頭痛は、どんな頭痛か

緊張型頭痛は、頭痛の中でもっとも多いタイプとされています。特徴として挙げられているのは、次のようなものです。

反対に、ズキンズキンと脈打つように痛む、動くと悪化する、吐き気や光・音がつらい、という場合は、片頭痛など別のタイプの可能性があります。タイプによって対処が変わるので、まず自分の頭痛がどちらに近いかを知っておくことが大切です。

緊張型頭痛の原因は、医学的にもすべてが解明されているわけではありません。ただ、首や肩、頭のまわりの筋肉のこわばり、長時間同じ姿勢でいること、精神的な緊張などが関わっていると考えられています。

首は、腕を伸ばしきったクレーン

首こりからくる頭痛を考えるとき、私はよく、クレーンにたとえてお話しします。

頭は、成人で4〜6キロほどあると言われています。この重い頭が、首の真上に乗っていれば、首はあまり頑張らずにすみます。ところが、パソコンやスマホをのぞき込んで頭が前へ出ると、クレーンが腕を前へ伸ばしきった状態になります。先端の荷物の重さは同じでも、根元のワイヤーには、ずっと強い張力がかかり続けます。

身体でいえば、このワイヤーが、首の後ろから後頭部の付け根にかけての筋肉です。頭が前に出ているあいだ、ここは休むことなく頭を引き戻し続けています。頭の付け根の小さな筋肉がこわばることが、頭の締めつけ感に関わっているのではないかとも考えられています。頭が前に出た姿勢と、緊張型頭痛のつらさに関連が見られたという報告もあります。

B-side GYM の考え方

首は、こっている場所であって、原因の場所とは限りません。
ワイヤーを揉むより、伸びきった腕を縮める。

首を揉んでも戻りやすい理由

首を揉むと楽になるのは、張りつめたワイヤーが一時的にゆるむからです。それ自体は、悪いことではありません。

ただ、クレーンの腕が伸びたままなら、ワイヤーはすぐにまた引っぱられます。揉んだ翌日、同じ時間に同じ痛みが戻ってくるのは、そのためです。強く揉みすぎると、かえって首まわりが防御するように硬くなることもあります。

セッションで多いのは、頭の位置を確かめてもらうと、本人の感覚よりずっと前に頭が出ている方です。「まっすぐ座っているつもりでした」とおっしゃいます。集中するほど画面に顔が近づき、そのあいだ、首の付け根はずっと踏ん張っています。集中したときの食いしばりも、同じように頭や首の緊張を強めます。くわしくは無意識の「食いしばり」の記事で書いています。

デスクでできる、首こり頭痛の入口のケア

安全にできるものを、二つ紹介します。

1. 壁でできる、あご引き
壁を背にして立ち、かかと、お尻、背中を壁につけます。目線はまっすぐ前のまま、あごを軽く引いて、後頭部をそっと壁に近づけます。うなずくのではなく、頭全体を水平に後ろへ引くイメージです。首の後ろがじんわり伸びるところで3秒止め、ゆるめます。5回が目安です。痛みが出たら、そこでやめてください。

2. 画面の位置を、目線の高さへ上げる
ノートパソコンを使っている方は、台や本で画面を上げ、外付けのキーボードを使うだけで、頭が前に出にくくなります。クレーンの腕を、物理的に縮める方法です。1時間に一度は画面から目を離し、遠くを眺めて、長く息を吐いてください。

すぐに受診してほしい頭痛のサイン

次のような頭痛は、首こりによるものではない可能性があります。迷わず医療機関を受診してください。

また、頭痛薬を飲む日が増えてきた方は、薬の使いすぎがかえって頭痛を招くこともあると言われています。一度、頭痛外来などで相談してみてください。

首ではなく、首の土台から

自分でできるケアを続けても、多くの方は、忙しい時期にまた頭が前へ戻ります。頭の位置を決めているのは、首だけではないからです。背中が丸まり、肋骨が沈み、呼吸が浅くなる。土台が崩れれば、頭は自然と前へ落ちていきます。

私たちは、まず首まわりの力みを抜き、次に背中やお腹の奥で頭を下から支える筋肉を働かせ、そのうえで頭が楽に乗る姿勢を、日常で保てるところまで積み上げていきます。首の不調が全身に広がる仕組みは、その首の不調が、頭痛やめまいを呼んでいるかもしれませんでも書いています。

夕方の頭痛は、がんばった一日の証のようにも見えます。けれど本当は、伸びきったクレーンからの合図です。今日の帰り道、画面から顔を上げて、頭を首の真上に戻すところから始めてみてください。