夕方になると靴がきつくなり、靴下の跡がくっきり残る。
足先はずっと冷たいまま、夜になってもなかなか温まらない。
そんな脚のむくみと冷えに悩んでいる方に向けて書きます。
先に結論をお伝えします。
デスクワークの方の、夕方のむくみと冷えを改善したいなら、温めるより先に、ふくらはぎの筋肉を動かすことから始めてください。
ふくらはぎは、脚に下りてきた血液や水分を、心臓のほうへ押し戻すポンプの役目をしています。
座りっぱなしでこのポンプが止まると、脚に水分がたまりやすくなり、巡りが落ちた足先は冷えやすくなります。
座りっぱなしで、脚のむくみはどれくらい増えるのか
中高年の男女40人に、脚を動かさずに2時間座ってもらった研究があります。
その結果、すねからふくらはぎの太さは、時間とともにはっきり増え、脚の重だるさも強くなりました。増え方は、女性のほうが大きかったと報告されています。
同じ研究では、座ったあとに3分間、脚を高く上げるだけで、ふくらはぎの太さが小さくなりました。
つまり、夕方のむくみは、体質だけで決まるものではありません。
2時間動かないだけで、脚には目に見えるほどの変化が起きる。そして、ほんの数分の工夫で、戻る方向にも動くということです。
ふくらはぎは、井戸の手押しポンプ
脚の血液が上に戻るしくみを、昔の井戸の手押しポンプにたとえてみます。
手押しポンプは、取っ手を上下に動かすたびに、地下の水を少しずつ地上へくみ上げます。取っ手が止まれば、水は上がってきません。
脚の静脈の中にも、血液が逆流しないための弁があります。ふくらはぎの筋肉が縮んだりゆるんだりするたびに、静脈が押されて、血液が弁を通って上へ送られていきます。
ふくらはぎの筋肉は、このポンプの取っ手です。
座ったまま何時間も足首を動かさないのは、取っ手から手を離している状態です。
重力で下りてきた血液や水分は、くみ上げられないまま脚の下のほうにたまっていきます。これが、夕方のむくみの正体のひとつです。
脚が冷えるのは、温める力より「巡らせる力」が落ちているから
むくみと冷えは、別々の悩みに見えて、同じ根っこを持っていることがあります。
身体の熱の多くは、筋肉が動くことで生まれ、血液に乗って手足に運ばれます。
ポンプが止まって巡りが落ちると、温かい血液が足先まで届きにくくなり、足先は冷えやすくなります。冷えると血管は縮みやすくなり、巡りはさらに落ちる。むくみと冷えが一緒に来やすいのは、このためだと考えられています。
靴下を重ねたり、湯たんぽを当てたりするのは、その場では心地よいものです。
ただ、外から足した熱は、離れればまた冷めていきます。熱をつくって巡らせる身体の中心の話は、手足の冷えは身体の中心の問題という記事でも書きました。
セッションでよくお会いするのは、夕方にむくみを訴える方ほど、座ったまま足首をほとんど動かしていないケースです。
試しに、座ったままつま先を自分のほうへ引き上げてもらうと、思ったより上がらない。ポンプの取っ手が、さびついたように動きにくくなっているのです。
むくみと冷えを改善する、自分でできる2つのこと
どちらも道具はいりません。痛みが出る場合は無理をしないでください。
1. デスクで、足首の曲げ伸ばし
- 椅子に座ったまま、かかとを床につけて、つま先をできるだけ高く引き上げる
- 次に、つま先を床につけて、かかとをできるだけ高く持ち上げる
- これを交互に、ゆっくり20回。ふくらはぎが縮んだりゆるんだりしているのを感じながら行う
- 会議が終わったとき、メールを1本送ったときなど、1時間に1回を目安に
立ってできる、かかとの上げ下げの方法は、デスクワークの合間にできる身体のリセットで紹介しています。座ったままのほうが続けやすい方は、こちらの曲げ伸ばしから始めてください。
2. 帰宅後、脚を壁に上げて3分
- 床に仰向けになり、お尻を壁に近づけて、両脚を壁にもたせかける
- ひざは軽く曲げてかまわない。腰が反って苦しければ、お尻を壁から少し離す
- そのまま、鼻から吸って、口から長く吐く呼吸を繰り返しながら3分
呼吸で胸やお腹が大きく動くと、身体の中の圧が変わり、脚から戻ってくる血液を助けるとも言われています。脚の高さと呼吸の両方で、くみ上げを手伝うイメージです。
病院で相談したほうがいい、むくみの目安
次のような場合は、筋肉のポンプだけの問題ではない可能性があります。自分で対処せず、早めに医療機関で相談してください。
- 片方の脚だけが急に腫れて、痛みや赤み、熱っぽさがある
- 脚の腫れと一緒に、息苦しさや胸の痛みがある(この場合はすぐに受診してください)
- 指で押した跡が、なかなか戻らないむくみが何日も続く
- 脚だけでなく、顔やまぶた、手までむくむ、体重が急に増えた
B-side GYM の考え方
むくみと冷えは、脚が悪いのではなく、
脚のポンプが休みすぎているだけかもしれません。
一人でケアしても、むくみと冷えが戻る理由
足首の曲げ伸ばしと、脚を上げる3分。これだけで、夕方の脚が軽くなる方もいます。
ただ、何年も続くむくみと冷えでは、一人のケアだけでは戻りやすいことがあります。
理由のひとつは、取っ手を動かす力そのものが落ちていることです。
ふくらはぎや、脚全体を支える筋肉が弱っていると、同じだけ動かしても、くみ上げられる量が少なくなります。
もうひとつは、座り方の癖です。骨盤が後ろに倒れ、脚を組んだり、足首を椅子の下で曲げたままにしたりする座り方は、本人には楽でも、脚の巡りを妨げ続けます。
自分の座り方や足首の硬さは、自分ではなかなか気づけません。だからこそ、一度外から見て、どこでポンプが止まっているのかを確かめることに意味があります。
脚のポンプを、もう一度動かす
むくみと冷えは、脚が悪いのではなく、脚のポンプが休みすぎているサインなのかもしれません。
温めて、もんで、その場をしのぐ前に、取っ手をもう一度動かしてみてください。
渋谷や表参道のオフィスで、長い会議のあとに靴がきつく感じたら、まずは座ったまま足首を20回。
くみ上げが戻ってくると、同じ一日を過ごしても、夕方の脚の重さと冷たさは、少しずつ変わっていきます。