昔、ジムに通って身体が変わった経験がある。
重いものが上がるようになって、自信もついた。
そういう経営者は多いと思います。
でも、その成功体験が、いまのあなたにとっては足枷になっているかもしれません。
若い頃に効いたやり方が、今も効くとは限らないからです。むしろ、経営者になった今の身体には、逆効果になっていることがあります。
追い込むほど、緊張は積み上がる
まず、経営者の身体が今どうなっているかを見てください。
朝から晩まで判断を続けて、気を張りっぱなし。何もしていない時間でさえ、どこかに力が入っている。肩は張り、呼吸は浅く、身体は一日中、力んだままです。
この状態が、経営者のデフォルトです。
そこに、重いものを持って追い込むトレーニングを足すと、どうなるか。
すでに力んでいる身体に、さらに力を入れる練習を重ねることになります。筋肉はもっと硬くなり、緊張は抜けなくなる。
火が燃えているところに、油を注ぐようなものです。
ジムに通いはじめてから、なぜか疲れが取れない。肩こりがひどくなった気がする。そういう経験があるなら、原因はこれかもしれません。
マシンで鍛えても、姿勢は良くならない
もうひとつ、意外に思われる話をします。
ジムのマシンで筋肉を鍛えても、姿勢は良くなりません。
理由は単純です。
マシンは動く軌道が決まっているので、身体はバランスを取る必要がありません。座って、決まった方向に押すだけ。
でも、姿勢を支えているのは、そういう表面の筋肉ではありません。
身体の奥にある、関節を正しい位置に留めておく筋肉です。
マシンは、この奥の筋肉には効きません。表面の筋肉だけが強くなって、奥はサボったまま。
すると何が起きるか。
奥が働かない分を、表面の筋肉が力ずくで補うことになります。つまり、常に力んで身体を支える状態が、さらに強化されてしまう。
鍛えているのに姿勢が良くならないのは、鍛える場所が違うからです。
本当に必要なのは「力を抜く」練習
では、経営者に必要なのは何か。
力を入れる練習ではなく、力を抜く練習です。
経営者の多くは、力の使い方が0か100になっています。
全力で入るか、完全に止まるか。その中間がない。
だから、少し力を使えばいい場面でも、全力を出してしまう。
そして、抜こうと思っても抜けない。
必要なのは、この中間を取り戻すことです。30%で動く、50%で動く。そういう感覚を、身体に思い出させる。
追い込むトレーニングは、この真逆をやっています。常に100を出す練習だからです。
すでに全力で走り続けている人に、もっと全力を出す練習をさせても、何も良くなりません。
だから、地味な動きから始める
B-side GYMのセッションが地味に見えるのは、このためです。
床に四つ這いになって、ゆっくり手足を動かす。
仰向けで、少しずつ身体を使う。
息が上がることも、汗だくになることもありません。
でも、これが効きます。
ゆっくりした動きの中で、力を抜く感覚を取り戻していく。自分の身体が今どうなっているかを、感じ取れるようにしていく。
土台が整ってから、必要な分だけ鍛える。
この順番でないと、経営者の身体は良くなりません。
これは、以前「B-side GYMは、経営者を「追い込まない」ジムです」で書いた、整えてから積み上げるという考え方と同じ根っこの話です。
追い込んで満足するトレーニングと、静かに整えるトレーニング。
気持ちいいのは前者ですが、身体が変わるのは後者です。
B-side GYM の考え方
追い込む練習は、100を出し続ける練習。
経営者の身体に本当に必要なのは、30%や50%で動ける「中間」を取り戻す練習です。
過去の成功体験を、一度手放す
最後にお伝えしたいことがあります。
昔、追い込んで結果が出た。その経験は、たしかに本物です。
でも、あの頃のあなたと、今のあなたは違います。
時間の使い方も、抱えている責任も、身体の状態も変わりました。
若い頃は、緊張の少ない身体に負荷をかけていた。
今は、すでに緊張しきった身体に、さらに負荷をかけようとしています。
同じことをしても、同じ結果にはなりません。
大事なのは、やり方をアップデートすることです。追い込むのをやめて、整えることから始める。そのほうが、今のあなたの身体には、ずっと効きます。
もし、鍛えているのに疲れが抜けない、姿勢が変わらないと感じているなら。
一度、追い込むのをやめてみてください。
そこから、身体は変わりはじめます。