世の中には、「集中力が続かない」という悩みが溢れています。
でも、できる経営者の悩みは、たいてい逆です。
集中力が、続きすぎる。
一度スイッチが入ると、時間も、空腹も、疲れも忘れて没頭できる。気づけば何時間も経っている。これは、大きな武器です。
けれど、この「過集中」こそが、経営者の身体を静かに壊していきます。なぜか。順番にお話しします。
あなたは、身体を「前借り」できてしまう
過集中に入っているとき、身体からの信号は、脳に届かなくなります。
疲れている。お腹が空いた。肩が張っている。
本来なら、こうしたサインが「そろそろ休め」と教えてくれます。けれど、過集中の最中は、その声がかき消される。
だから、走れてしまうのです。本当は限界が近いのに、それに気づかず、アクセルを踏み続けられる。
これは、身体を前借りしている状態です。できる経営者ほど、この前借りが上手い。体力も、気力も、まだあるかのように、先取りして使ってしまう。
問題は、前借りには、必ず返済が来ることです。過集中が解けた瞬間、あるいは週末や連休に、一気にツケが回ってくる。使い込んだ分の疲労が、まとめて押し寄せてくるのです。
「深く入る力」より、「戻ってくる力」
ここで、大事な区別をお伝えします。
深く集中すること自体は、悪いことではありません。問題は、そこから戻ってこられるかどうかです。
深く入って、ちゃんと戻ってこられる集中は、身体を消耗させません。むしろ、終わったあとに、心地よい充実感が残ります。
一方で、入ったまま抜けられない集中は、身体をすり減らし続けます。戻る力がないまま、深いところに居座ってしまう。これが、過集中の正体です。
集中の質を分けているのは、深さではありません。
戻ってこられるかどうか、なのです。
長く成果を出し続ける人は、強く入る力ではなく、深く入って、ちゃんと戻る力を持っています。
戻れないのは、身体が戻り方を忘れているから
では、なぜ戻ってこられなくなるのか。
多くの場合、身体が、力を抜いた状態を忘れているからです。
常に気を張り、常に力んでいると、身体は「抜く」という感覚を失っていきます。
アクセルの踏み方は覚えているのに、ブレーキの踏み方を忘れてしまう。
だから、集中から抜けようとしても、抜けられない。
仕事を終えても、頭も身体も、まだ走り続けている。休んでいるつもりでも、実際には戻れていない。
戻る力とは、意志の力ではありません。身体が、オンからオフへ、自分で切り替えられる状態にあるかどうかです。
そして、この切り替える力は、身体から取り戻すことができます。以前「気が休まらない経営者へ」でも触れた、自律神経の切り替えとも重なる話です。
永続性のある身体を、つくる
若いうちは、前借りが効きます。無理に走り続けても、少し休めば、なんとか帳尻が合う。
けれど、その走り方には、永続性がありません。前借りを続けた身体は、いつか、返済しきれなくなる日が来ます。
本当に長く走り続けるために必要なのは、もっと強く集中する力ではありません。
深く集中し、そして、しっかり戻ってこられる身体です。
ここぞという場面では、深く沈む。
終わったら、すっと戻る。
このオンとオフを、自在に行き来できる身体こそが、永続性を生みます。
それは、根性でも気合いでもなく、整えることでつくられます。力を抜ける身体を取り戻し、オンとオフを切り替える力を養っていく。その土台があってはじめて、あなたの集中力は、一生ものの武器になります。
B-side GYM の考え方
必要なのは、もっと強く集中する力ではなく、
深く入って、ちゃんと戻ってこられる身体。
その集中力を、長く使うために
もう一度、お伝えします。
集中できることは、あなたの才能です。けれど、入りっぱなしで戻れないなら、それは前借りを続けているだけかもしれません。
必要なのは、集中を増やすことでも、減らすことでもありません。
深く入って、ちゃんと戻る。その力を、身体から取り戻すことです。
もし、休んでいるのに頭が休まらない、抜けたいのに抜けられないと感じるなら。それは、あなたの集中力が、戻り方を忘れているサインかもしれません。
その武器を、この先も長く使い続けるために。
一度、戻ってこられる身体を、整えてみてください。