森の中で、
クマに出くわしたとします
森の中で、クマに出くわしたとします。
そのとき、身体は一瞬で臨戦態勢に入ります。
物音ひとつ聞き逃さないよう、耳が過敏になる。
いつでも逃げられるよう、視覚が鋭くなる。
筋肉は張りつめ、すぐに動けるよう準備する。
これは、生き物に備わった防衛本能です。
命の危険を前にしたとき、感覚を過剰に研ぎ澄まし、身体を戦闘モードにする。
一瞬の判断ミスが、生死を分けるからです。
経営者の身体は、これと同じ状態に入っています。
目の前にクマはいないのに、です。
なぜ、経営者は
「戦闘モード」から
抜けられないのか
経営者は、一挙手一投足が、天国と地獄の選択になります。
その一言で、契約が決まるか、壊れるか。
その判断で、会社が伸びるか、傾くか。
その決断が、人を活かすか、失うか。
命の危険ではありません。
でも、脳にとっては、クマと出くわしているのと同じです。
一つの選択が、天国か地獄かを分ける。その緊張の中に、毎日いる。
だから、脳は判断します。
「今は危険だ。気を抜くな」と。
そして、防衛モードのスイッチを、入れっぱなしにする。
問題は、このスイッチが、夜になっても、休日になっても切れないことです。
クマから逃げ切れば、動物の身体は戦闘モードを解除します。
けれど経営者にとって、クマは去りません。
明日も、来週も、来月も、次の判断が待っている。
だから身体は、ずっと臨戦態勢のまま居続けることになります。
その緊張は、
確実に身体に
出ています
戦闘モードが抜けない身体は、必ずサインを出します。
経営者を見てきて、いつも同じところに出るな、と感じます。
まず、筋膜が硬い。
筋肉を包む膜が、板のように張りついている。
本人は「ただの肩こり」だと思っていますが、それは戦闘モードが刻まれた跡です。
そして、自分の身体の状態が、自分でわからなくなっている。
どれだけ疲れているか、どれだけ力んでいるか。
感覚がうまくまとまらず、休むべきタイミングを見失っていきます。
何もしていないときでさえ、どこかに力が入っている。
リラックスしているつもりで、身体は少しも休んでいない。
そして、眠れない。
布団に入っても、戦闘モードのままでは、深く眠れるはずがありません。
クマの前で、ぐっすり眠る動物はいないのです。
頭で「休もう」としても、
抜けない理由
多くの経営者は、頭では「休まなきゃ」とわかっています。
旅行に行く。趣味の時間をとる。考えないようにする。
それでも、疲れが抜けない。
なぜなら、防衛モードは、頭で考えて解除できるものではないからです。
戦闘モードは、身体に居座っています。
筋膜の硬さ、抜けない緊張、浅い呼吸。
身体がまだ「戦っている」状態のまま、頭だけで「休もう」としても、身体はついてきません。
考え方を変えるより先に、身体をほどく必要がある。
これは、私がトレーナーとして、現場で何度も見てきたことです。
身体からなら、
スイッチは
切り替えられます
頭からは切り替えられないスイッチも、身体からなら働きかけられます。
張りついた筋膜をゆるめる。
浅くなった呼吸を、深く戻す。
ぐらついた身体の軸を、体幹から立て直す。
こうして身体が「もう戦わなくていい」と感じられると、脳もようやく判断を変えます。
戦闘モードから、回復モードへ。
入りっぱなしだったスイッチが、切り替わりはじめます。
大切なのは、順番です。
まず身体の緊張をほどき、感覚を整え、それから土台を積み上げていく。
頭で頑張るのではなく、身体から解いていく。
これが、休めない身体を、休める身体に戻していく道すじです。
B-side GYM の考え方
頭では切り替えられないスイッチも、
身体からなら解いていける。
戦い続ける身体ではなく、走り続けられる身体へ。
クマは、
あなたの中には
いません
最後に、お伝えしたいことがあります。
あなたが戦闘モードから抜けられないのは、気が弱いからでも、休み方が下手だからでもありません。
天国と地獄の選択を、毎日くり返してきた。
その責任の重さに、身体が真面目に反応してきただけです。
でも、目の前に、本物のクマはいません。
その事実を、頭ではなく、身体に思い出させてあげる。
それができたとき、あなたははじめて、深く休めるようになります。
戦い続けるための身体ではなく、走り続けるための身体へ。
その土台を整えることが、この先も長く、経営者であり続けるための支えになるはずです。