経営者の仕事は、判断の連続です。
そして、その一つひとつの判断の質が、そのまま結果を左右します。

同じ人でも、頭が冴えているときと、疲れて濁っているときとでは、下す判断がまるで違います。
問題は、大事な判断が、いつも頭が冴えたタイミングで来てくれるとは限らないことです。

だからこそ、勝負どころで、脳を意図的にクリアな状態に持っていく。
これは、鍛えられる技術です。

その方法を、2つお伝えします。

判断の質は、「脳の状態」で決まる

まず、前提の話をします。

私たちは、判断を「頭の良さ」の問題だと思いがちです。でも実際には、その瞬間の脳のコンディションに、大きく左右されています。

脳が疲れていたり、余計な緊張でいっぱいだったりすると、視野が狭くなる。目の前のことしか見えなくなり、いつもの手癖で判断してしまう。

逆に、脳がクリアで、適度に冴えているときは、選択肢が広く見え、深く考えられる。

つまり、大事な判断の前にやるべきは、「もっと考えること」ではありません。
考えるための脳を、いい状態に整えることです。

そのために、2つの方向から手を打ちます。
ひとつは、脳を適度に覚醒させること。
もうひとつは、余計な緊張を抜いて、クリアにすることです。

方法1|歩いて、脳を立ち上げる

ひとつめは、歩くことです。

コーヒーやエナジードリンクで、無理やり覚醒を上げる人は多いと思います。でも、外から入れる刺激に頼らなくても、身体を動かせば、脳は自分で立ち上がります。

大事な判断の前に、5分でも10分でも歩いてみてください。

歩くと、頭が細かく上下左右に揺れます。この揺れが、頭の向きや傾きを感じ取るセンサーを刺激します。このセンサーは、脳全体の目覚め具合を調整するスイッチと、直接つながっています。

さらに、歩けば景色が動き、目からも情報が入ってくる。
血流も巡り、脳に酸素が届く。

つまり、歩くという行為は、脳を自然に覚醒させる、いくつものスイッチを同時に押しているのです。デスクにこもって気合いで頭を働かせようとするより、一度立って歩いたほうが、はるかに脳は冴えます。

大事な会議の前、判断に迷ったとき。
座って唸る前に、まず歩く。これが、脳を立ち上げる一手です。

方法2|2倍呼気呼吸で、余計な緊張を抜く

歩いて覚醒を上げたら、次は、余計な緊張を抜きます。

覚醒だけを上げると、頭は冴えても、気持ちが焦って空回りすることがあります。だから、覚醒と落ち着きの、両方を整える。

そこで使うのが、呼吸です。

やり方はシンプルで、吐く時間を、吸う時間の倍にします。
4秒で吸ったら、8秒で吐く。3秒で吸ったら、6秒で吐く。
秒数は正確でなくて構いません。吸うより、吐くほうを長く。それだけです。

息を長く吐くと、身体は落ち着くモードに傾きます。高ぶりすぎた神経が、静まっていく。

この仕組みは、以前7時間寝ても疲れが取れない経営者へ」でも書いた、呼吸で自律神経を切り替える技術同じ話です。

判断の直前に、これを5回ほど。
頭は冴えているのに、気持ちは落ち着いている。
この状態が、いちばん深く、広く考えられる状態です。

歩いて上げて、呼吸で整える。
この2つで、脳は「冴えているのに、冷静」という理想の状態に近づきます。
B-side GYM の考え方

判断の質は、頭の良さではなく、その瞬間の脳のコンディションで決まります。
大事な場面の前に、脳を意図的に整える。これは、鍛えられる技術です。

その場の技術と、土台の両方を

この2つは、勝負どころで使える、即効性のある技術です。大事な判断の前に、ぜひ試してみてください。

ただ、正直にお伝えします。
これらが本当に効くのは、土台となる身体が整っている場合です。

そもそも脳が疲れきっていたり、身体が常に緊張しっぱなしだったりすると、歩いても呼吸をしても、効き目は限られます。土台がガタガタの上に、その場のテクニックを乗せても、効果は一時的です。

日頃から、脳がクリアに働ける身体をつくっておく。そのうえで、勝負どころで、こうした技術を使う。この両輪がそろってはじめて、大事な場面で、最高の判断ができるようになります。

もし、判断の質を、もっと安定して高めたいなら。
その場の技術だけでなく、土台のほうにも、目を向けてみてください。