判断するたびに、脳は消耗している
まず、決断疲れの正体を、はっきりさせておきます。
判断や意思決定を担っているのは、脳の前頭前野という部分です。
額のすぐ裏にある、脳の司令塔。
計画を立て、リスクを評価し、感情を抑え、複雑な決断を下す。
日々、仕事で判断を重ねる人が、いちばん使っている部分です。
この前頭前野は、とても燃費が悪い。
働かせるのに、大量のエネルギーを必要とします。
脳は、身体全体のエネルギーの、約2割を消費しますが、
その多くが、この司令塔の働きに使われています。
そして、重要なのはここです。
判断を繰り返すたびに、この前頭前野は、少しずつ消耗していきます。
筋肉を使い続ければ疲れるのと同じように、脳の司令塔も、使えば疲れる。
一日に何十、何百という判断を下す人の前頭前野は、夕方には、すっかり消耗しきっているのです。
消耗した脳は、判断を「手抜き」する
前頭前野が消耗すると、判断の質が、はっきりと変わります。
それは、こういう形で現れます。
まず、しっかり考えることを、避けるようになる。
一つひとつ丁寧に評価するのをやめて、
「いつものやり方」や「なんとなくの勘」で、決めてしまう。
そして、リスクを取らなくなる。
面倒な判断を、先送りする。
あるいは、いちばん楽な選択に、流れる。
これは、脳が、残り少ないエネルギーを守るために、意図的に「手抜きモード」に入っている状態です。
怖いのは、本人が、それに気づかないことです。
いつも通り判断しているつもりで、実は、質が大きく落ちている。
夕方に下した重要な決断が、翌朝見返すと、なぜこんな判断をと思う。
その裏には、消耗した前頭前野の、手抜きがあるのです。
判断力は、身体の状態に支えられている
では、この決断疲れと、身体は、どう関わるのか。
ここが、いちばん大事なところです。
前頭前野は、燃費の悪い司令塔でした。
安定したエネルギー、つまり血糖と、酸素の供給がなければ、まともに働けません。
血糖値が乱高下していたり、呼吸が浅くて酸素が足りなかったり、血流が滞って、脳に十分な栄養が届かなかったりすれば、
前頭前野は、もっと早く、もっと激しく、消耗します。
そして、回復です。
消耗した前頭前野が、いちばん回復するのは、質のいい睡眠のあとです。
研究でも、判事や医師、経営者といった、判断を仕事にする人は、一日の早い時間、つまりよく眠ったあとの数時間に、最も質の高い判断を下すことが分かっています。
逆に言えば、眠りが浅く、回復できていない身体では、朝から前頭前野が、すでに消耗しかけている。
判断力の一日は、前の晩の回復から、もう始まっているのです。
血糖、呼吸、血流、睡眠。
これらはすべて、身体の状態です。
つまり、あなたの判断力は、身体のコンディションに、直接支えられているのです。
判断力への投資とは、身体への投資
ここまで来ると、見えてくることがあります。
働く人にとって、最大の資産のひとつは、判断力です。
その判断力を、一日の終わりまで、あるいは何年にもわたって、高い水準で保ち続けたいなら。
鍛えるべきは、思考法だけではありません。
その判断を支えている、身体そのものです。
深く眠れて、回復できる身体。
呼吸が深く、血流がめぐる身体。
自律神経が整い、脳に安定してエネルギーが届く身体。
そういう身体を持っている人は、
夕方になっても、判断の質が落ちにくい。
消耗しても、回復が速い。
だから、長く、高いパフォーマンスを保てます。
決断疲れは、避けられないものではありません。
身体を整えることで、その進み方を、大きく変えられます。
B-side GYM の考え方
判断力を守ることは、身体を整えることと、切り離せない。
思考法や時間術の前に、その土台となる身体がある。
いちばん大事な判断を、いい状態で
まとめます。
夕方の判断が雑になるのは、意志の弱さではなく、判断を司る脳の司令塔が、消耗しているからです。
そして、その消耗のしやすさも、回復の速さも、
血糖、呼吸、血流、睡眠といった、身体の状態に支えられています。
だから、判断力を守ることは、身体を整えることと、切り離せません。
思考法や時間術の前に、その土台となる身体がある。
もし、大事な判断の質を、一日の終わりまで、そして何年にもわたって守りたいなら。
その判断を支えている身体に、目を向けてみてください。
あなたの下す一つひとつの判断が、事業をつくっていきます。
その判断力への、いちばん確かな投資が、身体を整えることなのです。